「今」という言葉は、出現したその瞬間に、すぐに消え去っていくようだ。

写真や本は、誰かにとってその時その瞬間に感じたこと、つまり「過去」の瞬間や修正を「今」に提示し続けている。

「未来」なんて存在するかもわからなければ、自らが残したいかどうかに関わらずに消えていくかもしれない。

それでも手触りのあるもの、本をめくった時の匂いや、写真のように曖昧で定義のしづらいもの。そんな人間味のあるものを大切にしていきたいと思っています。

（PARCO出版50周年イベント「One Page BOOKSTORE」に寄せて）

嶌村吉祥丸｜Kisshomaru Shimamura
東京生まれ。アーティスト・写真家として、分野を越境し国内外を問わず活動。さまざまな表現者と協働しながらsame gallery (東京)やkoen(京都)のディレクターとして企画・キュレーションを行うほか、「ラーメン吉祥丸」やフレグランスブランド「kibn」をプロデュース。主な個展に"Unusual Usual"(Portland, 2014)、 “Inside Out”(Warsaw, 2016)、"photosynthesis"(Tokyo, 2020)、"what is good?"(2024)など。